ルカの福音書1章5〜23節
「ザカリヤの見た幻」
ザカリヤは祭司であった。ある時、神殿で香をたく務めをすることになった。この務めは一生に一度しかできない名誉であり、機会に恵まれないまま祭司を終える者もあった。
神殿は、神の住まいである。香をたく時、その空間は神と自分だけ。神の御前に一人で立つ厳粛な思いで、ザカリヤは決められた手順通りに香をささげた。
その瞬間、目の前に天使が現れた。ザカリヤは恐れた。神に出会うならば、誰もがそのような恐れを持つだろう。天使はザカリヤに驚くべきことを告げた。「妻エリサベツが男の子を産む。名をヨハネと付けよ…」夫婦の身体は、すでに子を宿すことはできない。ザカリヤは天使に「何によってそれを知ることができるか」と問いかけた。すると天使は、「そのことが起こるまで、あなたは話せなくなる」と言われた。
ザカリヤは無音の世界に投げ込まれた。どんなに不自由であったかと思う。しかし、それによって彼は、神が何かをしようとしている予感をひしひしと感じていたはずである。それは、自分たちが子を授かるという喜びにも増して、神の御業を楽しみに待つ喜びであった。
私たちは、神の御業を楽しみに待つ、そんな予感があるだろうか。明日への不安やつぶやきをやめて沈黙し、主イエスをくださったお方のなさることに、期待する者でありたい。
ザカリヤ、その名は“神は覚えておられる”という意味を持つ。ザカリヤ同様、神は私たちのことも覚えておられる。
「私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおとずれを伝えるように遣わされているのです。」(19節)