ルカの福音書2章1〜7節

「救い主の誕生」

 

 ローマ皇帝アウグストゥスは、パクス・ロマーナ(ローマの平和)と呼ばれる時代を切り開いた人物として知られる。彼は徴税のために人口調査を行った。その命令によって、ヨセフとマリヤはナザレからベツレヘムに行くことを強いられ、マリヤは旅先で出産した。人の目には、この二人は気の毒に映ったかもしれない。ローマの法令によって出産間近なのに旅をしなければならず、旅先で出産するとは。しかし、これらの背後には神様の御手が働いていたことがわかる。救い主はベツレヘムで生まれることが、預言者ミカによって語られていた。神様は実に、すべての時代を御手の中に入れられている。試みの中にも、神様は生きておられることを覚えたい。

 救い主の誕生は、人類史上最大の奇跡と言うべきことである。なぜなら、神様が見える仕方で現れたからである。しかし、そのような奇跡であるのに、その場面は地味である。ひとりの天使も現れなければ、天の栄光も照らさない。人々が見向きもしないような家畜小屋で、救い主はひっそりと生まれた。私たちの救い主は、暗く・光のないところに来てくださるお方である。

 私たちは、約二千年前にベツレヘムという異国の町に起きたクリスマスの奇跡を、今ここで追体験する恵みをいただいている。 私たちは罪という暗さを抱えている。その闇が深ければ深いだけ、私たちはその罪を隠そうとする。しかし主イエスは天使の賛美も天からの光もないあの家畜小屋に、人々から見向きもされない場所に来てくださった。同じように、今、暗さを抱えて生きる私たちの現実の中に、救い主は来てくださる。

 イエス・キリストは、私たちを罪から救い出してくださる救い主である。この世には、神様から遣わされた救い主が与えられている。神様に感謝して、この恵みを受け取りたい。

 

「ところが、彼らがそこにいる間に、マリヤは月が満ちて男子の初子を産んだ。そこで布にくるんで、飼い葉おけに寝かせた。宿屋には、彼らのいる場所がなかったからである。」7