ヨハネの手紙第一 2:12〜17

「世を愛してはならない」


 「世を愛してはならない」と言われます(15)。この世間を離れて自給自足の生活をすれば、世を愛さないでいられるでしょうか。しかし、そのような生活を命じられているのではありません。イエスご自身が世に来られ、弟子たちに「あなたがたは世界の光です」とお語りになりました(マタイ5:14)

 神は、ひとり子をお与えになったほどに、世を愛されました(ヨハネ3:16)。この場合の「愛する」とは、犠牲を払ってでも救おうとする“与える”愛です。それに対して、「世を愛してはならない」という場合の「愛する」は、神よりも深く世に心を寄せ、世から何かを“得よう”とする愛です。

 神は「光の中を歩む」(1:7)ように命じます。そのための具体的な行動として「兄弟を愛する」ことが位置づけられます(2:10)。確かに、世を愛し、「肉の欲、目の欲、暮らし向きの自慢」を追求するならば(16)、兄弟を愛し・隣人を愛することは困難でしょう。神を愛することと、世を愛することは正反対のことなのです(15)

 イエス・キリストを信じる者は、イエスによって「罪が赦された」者です(12)。また、世にとどまることで生じる誘惑との戦いにも、みことばの力によって必ず勝利する者とされています(14)。さらに、イエスとの確かなつながりによって天の御国をいよいよ近くに感じるように導かれます。このすばらしい恵みの故に、世を軸にしてではなく、神と隣人を軸にして歩みましょう。

 

【聖書】15節「世をも、世にあるものをも、愛してはなりません。もしだれでも世を愛しているなら、その人のうちに御父を愛する愛はありません。」