エレミヤ書50章17〜20節、28〜32節

「その牧場に帰らせる」

 

 エレミヤ50章は、バビロン帝国に対する預言である。「わたしはアッシリアの王を罰したように、バビロンの王とその国を罰する。」(18) かつて世界の覇者であったアッシリア帝国がバビロン帝国に滅ぼされたように、バビロン帝国もまた神様の御手によって裁きを受けると予告する。この予告通り、約55年後、ペルシア帝国によってバビロンは滅ぶ。

 そしてこの時、同時にイスラエルの回復が起こる。「わたしはイスラエルをその牧場に帰らせる。」(19) 牧場とは、神様ご自身のことであろう(7)。神様がイスラエルの罪を赦してくださり、神様との関係を回復させてくださる。そのしるしとして、イスラエルのエルサレム帰還が起こる。

 神様は、バビロン滅亡とイスラエルのエルサレム帰還という将来起こる出来事を予告される。そしてその予告の通りのことをなさる。ここから、歴史の中で起こる様々な出来事の背後には、神様の御手が働いていることを知ることができる。私たちの人生にも、神様は目的とご計画をもっておられる。私たちは、自分と人生を共に歩んでくださるお方が、歴史を支配しておられるお方であることを覚えたい。

 預言者エレミヤは「涙の預言者」と言われる。それは、彼が神様から涙を流すような過酷な仕事をさせられたからではないだろう。むしろエレミヤは、神様の悲しみを共に悲しんだのである。エレミヤは人々に語っても聞いてもらえないという経験をしたが、それは神様ご自身が経験されたことだった。エレミヤはエジプトに亡命する人たちに連行されてしまうが、人々のわがままに振り回されたのは神様ご自身も同じであった。エレミヤが神様の悲しみを共に悲しんだのは、神様の友となったことを意味する。あなたが神様によって回復を与えられたなら、あなたもまた、神様の友として生きることが期待されている。 

 

「わたしはイスラエルを、その牧場に帰らせる。」(19