ハバクク3章1〜19節

「主は私の力」

 

 預言者ハバククは、エホヤキム王の時代に活動したとされる。彼は、神様より自分の国がバビロン帝国によって滅ぼされるという運命を知らされる。ついに、これまで犯してきた罪の裁きが宣告されたのである。

 ハバククは動揺した。そして神様に率直に問いかけた。確かに、この国は罪を犯してきたが、神様との契約があるはずである。裁きを受けなければならないとしても、国が滅ぶというのは納得ができない、と。神様はハバククに答えて、一つのみことばを与える。「正しい人はその信仰によって生きる。」(2:4b) 国家としての姿は失われる。しかし、神様を信じる信仰によって結ばれた共同体として、神の民イスラエルは存在する。こうして神様との契約は継続される。

 3章はハバククの祈りである。1つの祈りは、神様の力強さ・恐ろしさをたたえる祈りである。神が諸国を怒りと憤りによって裁きをくだす。その時、天と地が震える(315)。

 もう1つは、バビロンによる裁きを受けるに当たり、神様のあわれみを信頼する祈りである。神様の裁きは恐ろしい。すべての喜びが奪われてしまう(17)。しかしハバククは、裁きにおいても神様の救いを信頼し (18)、「私たちを攻める民に襲いかかる悩みの日を、私は静かに待とう」と語る(16)。ハバククは覚悟した。その覚悟に基づいて、神様の裁きが速やかになされることを願う(1)。同時に、「激しい怒りのうちにも、あわれみを忘れないでください」と祈っている(1)

 私たちがこの世で背負うべき重荷は、決して軽いものではない。しかし、私には救いの神がいてくださる。静かに神様の時を待とう。「あわれみを忘れないでください」と祈りながら。神様の最善を信じて。

 

「私たちを攻める民に襲いかかる悩みの日を、私は静かに待とう。」(16