マタイの福音書 24章1〜14節

「まだ終わりではない」

  

 主イエスは神殿の崩壊を予告された。弟子たちは不安に駆られ、世の終わりの前兆としてどんな事が起きるか、主イエスに尋ねた。その時が来ると、再臨のキリストを自称する者が多く現れ、多くの信者を獲得し、社会に影響力を持つ。戦争のことを聞いたり、自分たちにも戦火が迫るという噂を聞く。食糧問題と自然災害が多発する。キリスト者に対する迫害や殉教が起こる。

 

 これらの出来事により、教会では信仰につまずく人が出る。また教会で人に裏切られる経験をしたり、憎み合うような人間関係の破綻が出る。偽者の教師や偽物の情報が広がり、混乱する。そしてキリスト者の愛が冷える。すなわち、人に与えることを好まず・人から受けることを欲しがるキリスト者が多くなる。

 

 これらの前兆は、今すでに、私たちのまわりで起きているのではないか。しかし主イエスは「まだ終わりではありません」と言われる。すなわち、戦争や自然災害などによって世の終わりに至るのではないということである。これらの出来事は、前兆であっても私たちにとって大きな試練となる。主イエスは、「惑わされないように(迷い出ないように)」、「耐え忍びなさい(留まり続けなさい)」と言われる。試みに襲われても、私たちは「まだ終わりではない」というみことばに留まりたい。

 

 「まだ終わりではない」。この言葉は、私たちを繋ぎ止める言葉になる。私たちは疲れ果てる時、また失望する時など、“もう終わりだ”と思ってしまうことがある。しかし、そのような時にも主イエスは「まだ終わりではない」と言われる。私が直面する試みに主イエスが働いておられる故、「まだ終わりではない」のである。

 

 主イエスは、福音が全世界に宣べ伝えられた後、「それから終わりが来る」と言われる。これは、世が終わる時までみことばが生きて働くということである。戦争や食糧問題や自然災害に苦しむ中でも、みことばが人を救い、人に希望をもたらす。教会で人間関係に傷つき、祈る気力を失い、教会から離れても、みことばがその人を回復させ、再び教会に集うようになり、祈るようになる。みことばの力に信頼しつつ、主イエスを待ち望む者でありたい。