出エジプト記20章1〜17節

「奴隷の家から」

 

 神様はイスラエルの民に「十戒」を授けられた。十の戒めのうち、はじめの4つは神様との関係を問う言葉であり、あとの6つは人との関係を問うものであった。

 十戒の序文には「わたしは、あなたを、エジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である」という言葉がある。神様はエジプトで奴隷だった人々を解放された。そして、真の意味で自由な人として生きるために十戒を授けられた。

 神様との関係では3つの要点がある。①神様は私たちと人格的な関係を築きたいと願っておられる。“なすべきことを命じられ、守れなかったら罰を受ける”なら、主人と奴隷の関係である。神様は、私が自分の意志で神様を愛する選択をすることで、神様との信頼関係が豊かになることを望んでおられる。②神様は“言葉”によって私たちとつながろうとされる。神様の名前を大切にし、みことばを聴き・従うことである。神様を何かの“像”または“カタチ”に置き換えて、それを愛でることは喜ばれない。③神様は私たちと時間を共有したいと願っておられる。仕事をする手を休め、神様とお会いする礼拝の時間を求めておられる。

 人との関係にも3つの要点がある。①神様は「いのち」を大切にするように命じる。自分のいのちの源である父と母を敬い、隣人のいのちを守らなければならない。②神様は「人格」を重んじるように命じる。性は人格そのものであり傷つけられてはならない。また、盗むことによって、その人の権利や自由を損なってはならない。③神様は「信頼」を育てるように命じる。信頼関係は言葉によって作られ、言葉によって損なわれる。言葉に誠実であらねばならない。また妬みは信頼を破壊する。妬みの心を育てるのでなく、その人との信頼を育てるようにしなければならない。

 神様は私たちを奴隷としてではなく、自由な人間として見てくださるが故に十戒をくださった。十戒で重要なのは、神様を愛し・人を愛することを選び取る、その人の意思と決断である。

 

「わたしは、あなたを、エジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である。」(2