歴代誌第一 5章1〜10節
「神に結ばれた者として」
歴代誌5章には、ルベンの系図が記される。ルベンはイスラエル(ヤコブ)の長子として生まれた。長子は、その家に与えられた神からの祝福を受け継ぐ者とみなされ、兄弟の中で誰よりも2倍多くの資産を相続する権利を持っていた。しかしルベンは、祝福ある長子の権利を自らの行為によって失ってしまう。ルベンは一時的な欲動に動かされて、父のそばめビルハと関係をもってしまったのである(創世記35:22)。
歴代誌を読んだ人々は、ルベンに込められたメッセージをどのように読んだのか。イスラエルの民は、実に70年以上の間、アッシリア帝国、バビロン帝国のもと、遠い異国の地に捕らえ移されていた。ところがペルシア帝国になった時、神はクロス王を通して、イスラエルの民がエルサレムに帰ることができるようにされた。神の民の再建のため、人々はエルサレムへ向かった。
ところが、神の民の再建には課題が山積していた。エルサレムは荒れ果て、別の民族が住み着いていた。工事に着工すると武力で中断を余儀なくされた。再建のために戦う人々にとって、ルベンは“欲望に負けて約束された祝福を相続できなかった人物”として警告のメッセージを帯びていた。もし目の前の誘惑に流されてしまったら、人々の足並みは乱れ、再建の労苦は水泡に帰するだろう。イスラエルの人々は、神さまが祝福してくださる未来を信じて、忍耐しながら誘惑と戦わなければならなかった。
私たちも、神の祝福を相続する約束をいただいている。究極的には、天の御国に迎え入れられるという最高の未来が待っている。それだけでなく、この地上でも、教会を通して、神が造ってくださる未来があることを信じる。教会の仲間に新しい人々が加えられ、主を信じる人々が新たに与えられる。教会が新しい役割を与えられ、地域社会で主イエスを証しする存在となる。そのような教会の未来を信じよう。神に祝福された未来を受け継ぐために、今、私たちにできることがある。それは、世の中の言葉や誘惑に流されることなく、主イエス様としっかりとつながって信仰の証しを立て、祝福に満ちた相続の約束を次の世代に渡すことである。