ヨハネ182840「この人でなくバラバを」

 

 32節「これは、ご自分がどのような死に方をされるのかを示して言われたイエスのことばが成就するためであった。」

 


 ここには、イエス様が十字架という死に方に至る経緯が記されています。ユダヤ人たちは、石打の刑によって自らの手でイエス様を殺害するのでなく、ローマ総督ピラトの手により十字架刑で殺害するように仕向けます。

 ピラトはイエス様を尋問し、「あの人には罪を認めません」と無罪を証言しますが、彼はユダヤ人たちの顔色を恐れました。当時、囚人一人を釈放するという祭りの慣習があり、そこで無罪であるイエス様か強盗バラバかを選ばせたのです。ピラトの逃げ腰の決意により、イエス様は十字架刑で死ぬことになりました。

 この経緯は人間の悪意がそのまま形になった、理不尽で・筋が通らない話です。しかし、こんな薄汚い中にも、神様の希望の光は輝いていました。イエス様はあらかじめ十字架を予告しておられ(12:32)、ピラトの決断において「イエスのことばが成就」したのです(32)

 イエス様は「真理を証しするために」お生まれになりました(37)。他者によって形作られ立証されるものは真理ではありません。初めから存在し、変わらずに存在し続けるものが真理です。万物の創造主である父なる神様こそ真理であり、「わたしは共にいる」と人間の罪が渦巻く中でも光として輝くイエス様こそ、真理そのものです。このお方の声に聞き従いましょう(37)