ルカの福音書2章1〜20節

「栄光が神にあるように」

 

 イエス・キリストは、約二千年前のイスラエルで生まれた。当時、イスラエルはローマ帝国の一部となっていた。時のローマ皇帝アウグストは、帝国全土に対し住民登録を命じた。そのために、ヨセフは臨月を迎えたマリヤを連れてベツレヘムに行くことになった。ナザレからおよそ150km5日以上はかかったであろう。仕事を休み、自腹を切っての旅である。皇帝の勅令とは言え、何という骨折り損だろうか。愚痴らずにはおれない。

 しかも、事もあろうに旅先でマリヤの陣痛が始まった。ただでさえ混みあうベツレヘムの宿屋に、出産のために一部屋を充てがう余裕のある家はない。人々から押し退けられるようにして、マリヤは家畜小屋で出産した。そうやって、救い主イエス・キリストは生まれたのである。

 ここにクリスマスのメッセージがある。人生に起こる思いがけない出来事に翻弄される時、弱い時、病の時、人々から見放されるような時、そんな人生の曲がり角にイエス・キリストはいてくださるのである。

 主イエスにお会いするために、私たちは羊飼いたちがしたように、家畜小屋に向かわなければならない。家畜小屋、それは低さの象徴である。問題を自力で何とかしようとせず、弱いまま、神様に祈り頼ることである。弱いまま、祈ろう。神様は、あなたのために働いてくださる。そこに、あなたの救いがある。

 

「あなたがたは、布にくるまって、飼い葉おけに寝ているみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」(12)