創世記29章1〜35節

「だまされたヤコブ」

 

 イサクは歳を重ねて老人になっていた。イサクは“神様から祝福される特権”を寵愛するエサウに与えるつもりだったが、リベカの策略によってヤコブがこれを騙し取ってしまう。これを知ったエサウはヤコブに対して殺意を抱く。ヤコブは、リベカの兄ラバンを尋ねてハランまで旅をする。

 ヤコブは休息を求めてある井戸に立ち寄ると、そこにハランの娘ラケルが羊を連れてやってきた。こうしてヤコブはラバンの家に入るが、すぐにラケルに恋心をいだくようになる。それでラケルを妻にもらうために、7年間の勤労奉仕をすることになる。7年後、待ちに待った夜にヤコブのとなりに寝ていたのは、姉のレアであった。人を騙してきたヤコブは、逆にラバンに騙されてしまったのである。

 人が人を欺くところで、神様は何もおっしゃらずに沈黙しておられる。しかし31節で「主はレアがきらわれているのをご覧になって、彼女の胎を開かれた」とある。ヤコブはラバンに騙され、「一番の被害者は自分だ」と思ったであろう。しかしそうではなかった。最も傷つけられたのは、レアだった。夫に愛されることもなく、父には利用され、妹からは疎まれる。そんなレアを、神様はよくわかっておられた。神様は弱い者の叫びを聞いてくださるのである。

 レアは男の子を賜る。4人目に「ユダ」という、神様を賛美する名前をつける。神様はレアを省みて、苦難の中でも彼女に賛美する心を与えられた。神様はあなたの叫びも聞いてくださり、あなたを省みてくださるお方である。

 

「彼女は…男の子を産み『今度は主をほめたたえよう』と言った。それ故、その子をユダと名付けた。」(35)