ヨハネの手紙第一 1:1〜4

「いのちのことば」


 ヨハネの手紙は、AD90年前後、教会が大きな危機に瀕する現状の中で書かれました。

 まずヨハネは、イエスを「聞いたもの、目で見たもの、じっと見、また手でさわったもの」と語ります(1)。ヨハネは信仰の根拠として、イエスが実在されたことを示します。私たちの信仰は、「よい心がけの仕方」や「知的な好奇心」の話ではなく、自分が生きることに直結した実在のものです。イエスは「いのちのことば」です。ヨハネは、イエスから「いのちをいただく」経験をしたということです。

 ヨハネは教会に対して「あなたがたも私たちと交わりを持つ」ことを願います(2)。教会の交わりは、父なる神とイエスとの交わり、すなわちイエスを囲む交わりです。この点で、当時の教会はバランスを失っていました。教会がイエスを囲む交わりを回復するために、ヨハネは「互いに愛し合え」と繰り返し語るのです。

 イエスは取税人や罪人たちに慕われ、一緒に食事をしました。イエスを囲む交わりは、罪を認める人にはやさしく・心地良いものでしたが、パリサイ人のように自分が正しいと思う人には異質に映りました(マタイ9)。教会の交わりに、「なくてはならないもの」があるか、探られます。へりくだることを、学び続けなければなりません。

 教会の交わりを続けることは、喜びの種を植えることです。そこには忍耐や寛容が求められますが、それはやがて天の御国で花開く「完全な喜び」になるのです(4)

 

 4節「私たちの交わりとは、御父および御子イエス・キリストとの交わりです。」