テサロニケ人への手紙第一1章1〜10節

「恵みと平安があるように」


 現在のテサロニケは、「テッサロニキ」の名でギリシア第2の都市として知られます。この手紙が書かれた当時は、ローマ帝国マケドニア州の首都として栄えていました。この町に、パウロとシラス(シルワノ)、テモテがイエスを伝えたことで、テサロニケ教会は生まれました。

 13節は手紙の挨拶に当たりますが、ここには「教会とは何か」ということが、短い言葉の中に凝縮されています。冒頭に、「父なる神および主イエスにある」教会へ、という言葉があります。この「にある」には、所有の意味があります。教会の所有者は誰か、ということです。

 企業や会社の場合は、創業者またはその一族が実権を持ち続けるということがあります。しかし、テサロニケ教会の場合はそうではありません。所有者は、教会を開拓したパウロたちではなく、神ご自身です。教会は、神のものです。

 それ故、教会に「恵みと平安」が与えられます。「恵み」とは、神が顔を向けてくれることです。神が自分のほうに顔を向け、私の祈りを聞いてくださる。そして私を守ってくれている。これは何という安心でしょうか。そのような安心感を「平安」と言います。

 神は私たちと共にいてくださいます。この恵みを見失うことがありませんように。神がおられるところに、「恵みと平安」はあります。すでに与えられている「恵みと平安」に感謝しつつ、さらにお互いのために祈り求めましょう。

 

「パウロ、シルワノ、テモテから、父なる神および主イエス・キリストにあるテサロニケ人の教会へ。恵みと平安があなたがたの上にありますように。」(1節)