ヨハネの手紙第一3章11〜24節

「神の命令とは」


 「神の命令」(23)とありますが、これは言い訳無用・絶対服従ということではなく、神の願い、懇願です(第2コリント5:20)。神の命令とは、イエスを信じることと、互いに愛し合うことです。

 「カインのようであってはいけません」とあります(12)。神は、カインのささげものを喜びませんでした。その理由は明らかにされていませんが、カインに何らかの原因があったことは明らかです。カインは神に対して怒りを燃やし、顔を伏せます。その腹いせに、兄弟アベルを殺害するのです。

 ここで問題にされていることは、「人を殺す」行為よりも、カインの中にあった「兄弟を憎む」心です(15)。人は怒りの感情を抱くと、自分勝手な思い込みで他者を妬み、憎しみ、攻撃する傾向があります。これがカインの罪です。

 イエスは、私たちをカインの罪から救い出すために「ご自分のいのちをお捨てになりました。」(16)それ程までに、神はあなたを愛しておられます。イエスを信じ、神の愛を受け取ることで、カインの罪から解放されます。

 イエスを信じた人は、「行いと真実をもって」兄弟を愛そうとします(18)。しかし、愛することには傷がつきものです。兄弟を愛するとは、愛の故に傷を負う「受難者」になることではないでしょうか(吉野弘「夕焼け」)。イエスと同じようにはできなくても、自分なりのイエスの心で、人を愛することができますように。

 

【聖書】23節「神の命令とは、私たちが御子イエス・キリストの御名を信じ、キリストが命じられたとおりに、私たちが互いに愛し合うことです。」